
乾燥肌の基準
多くの人が悩んでいる「乾燥肌」。言葉は知っていても、ちゃんと理解しているという方は、ほとんどいないのではないでしょうか?
実は、乾燥肌には明確な基準があります。まずは乾燥肌について、正しい知識をインプットしましょう^^
正常な肌の角質層には、おおよそ30%の水分が含まれています。この水分含有量が30%を下回っている肌のことを「乾燥肌」というのです。
なおこれは、肌の最も外側にある角質層だけの話しだということを、最初に押さえておいてください。
肌の乾きを防いでいるのは「保湿成分」
人間の肌には水分を維持するのに役立つ「保湿成分」が備わっているため、それが正常に機能していれば、仮に湿度が0%になったとしても水分を維持することができます。
「保湿成分」と聞くと、化粧品に含まれているものであり、「肌の上から塗ることで補うもの」と決めつけている方が多いのですが、実際のところ、私たちの肌には保湿成分が元からあるのです。

でもワタシの肌には少ない気がする…
人間の肌の中でいちばん大事な保湿成分とは
保湿成分の中でいちばん大事なものは何だと思いますか?
答えは…「セラミド」です。
このセラミドは、「角質細胞間脂質(かくしつさいぼうかんししつ)」と呼ばれている水分の蒸発を防いでいる脂質の一種であり、外的刺激から肌を守るために大きな役割を果たしています。
角質細胞間脂質は複数の脂質が混ざりあってできていますが、その内の約40%を占めるのがセラミドで、他には「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」などがあります。
ちなみに遊離脂肪酸というのは、脂肪組織から血液の中に放出され、エネルギーの元として使用される脂肪分のことを指します。
健康な肌を維持するには保湿成分の「正常な働き」が必要
肌の中のいろいろな保湿成分が正常に働かなくなって、水分量が極端に少なくなった状態が乾燥肌です。
肌の保湿成分の生産量は老化とともに減ってくるため、角質層の水分量も、それにともなって減少します。
その結果、肌は乾燥しやすくなってしまうのです。
乾燥肌=油分が少ない肌?
よく「乾燥肌というのは、油分が全然ない肌のこと」と勘違いされている方がいますが、これは違います。
乾燥しているかそうでないかは、「肌に含まれている水分の量」で決めるのです。「油分の量」ではありません。
乾燥肌と脂性肌(=オイリー肌)は対極にあるものではないということを、この機会に覚えておきましょう^^

ずっと勘違いしてた!
乾燥状態が続くと肌は硬くなってしまう

角質層の水分量が減り、乾燥した状態が続くと、肌は硬くなります。その理由は、「角質層が厚くなってしまうから」です。
ここでは「肌の柔らかさの仕組み」について見ていきましょう。
角質層には、もともと外からの刺激が肌の内部に入ることを防ぐ「バリア機能」があります。
乾燥というのは、このバリア機能が損なわれている状態なので、肌は「角質層をつくらないと!」と、細胞の生産を通常よりも早めるのです。
その結果、生産のスピードに適応できない未熟な角質細胞ができてしまうことに…(泣)。
角化(かくか)ってナニ?
表皮を構成している細胞の大半は「角化細胞(=ケラチノサイト)」です。この角化細胞が垢(あか)となって剥がれていく過程を「角化(かくか)」といいます。
角化は、「ターンオーバー(=表皮の生まれ変わり)」とともに起こるため、通常は約28日もかかってしまいます。
この角化の中でセラミドも生成されるので、角化は「肌にとって欠かせないもの」といえます。
肌が乾燥することで「急ピッチの角化」が起きてしまい、結果として不完全な角質層が積み重なって肌が厚くなる…(泣)。これでは正常なバリア機能が働かないのは言うまでもありません。
この悪循環をリセットするために行うべきスキンケアは「保湿」です。
以下で「正しい保湿ケア」を見ていくことにしましょう。
正しい保湿とは「湿気」を「維持する」こと
保湿はスキンケアの基本ですが、この意味を間違えてとらえている方が大勢います。
健康で美しい肌を目指すのであれば、まずは「保湿」の正しい意味を知ることから始めましょう。
「保湿」というのは、「湿気」を「維持する」ことです。
これをスキンケアに当てはめると、肌の水分を適切な量で維持するような対策が「正しい保湿ケア」ということになります。
注意しなければならないのは、水そのものを与える「だけ」では、正しい保湿ケアとはいえないということです。
多くの女性が、化粧水などの「水」を与えることが保湿だと思いこんでいるため、いつまでたっても乾燥肌から抜け出せないのです。
「保湿ケア=化粧水だけで大丈夫」という考えは、捨ててしまいましょう。
代わりに「正しい保湿ケア」の具体的な内容を押さえてください。
「正しい保湿ケア」の具体的な内容は、「肌内部の水分を維持することができる保湿成分配合の美容液などを、肌に与え続ける」です。
セラミドやヒアルロン酸といった保湿成分を含んだ美容液などでスキンケアをして肌に保水力がつけば、乾いた空気の中で過ごしても、肌は乾燥しません。
乾いた空気のせいで乾燥肌の人が増えている

湿度が30%を下回ると、角質層から水分が蒸発しやすくなります。
現代は地球温暖化の影響で空気が乾きやすい環境にあり、特に都心部ではその傾向が強いです(※平均湿度が毎年のように低下)。
乾燥肌に悩む人が以前より増えているのは、こうした地球規模の環境問題にも原因があります。
私たちはこれからもこの環境の中で生きていくわけですから、この事実を認識したうえで適切な対策をしていかなければいけませんね。
乾燥肌に適切なスキンケア対策をする
保湿成分配合の基礎化粧品を使っているのに乾燥肌が改善されないという方は、保湿成分の中でも効果の高い「セラミド」が多く含まれた美容液を使ってみてはいかがでしょうか?
セラミドには「速効性」があるので、継続して使用すれば、肌の水分量の増加も期待できます。つまり、乾きに強い肌をつくれる可能性が高いのです。
もし現時点で、セラミドが含まれた美容液を使用しているのに、乾燥肌がよくならないとすれば、その美容液に含まれているセラミドの量が少ない可能性が高いです。
当然ですが、商品ごとに含まれているセラミドの量は違います。
なので、現在使用している商品よりセラミドの量が多い美容液に変えるといいでしょう。
肌からセラミドを取り除くと、肌の水分量は約80%も下がってしまうのです。このことからも、肌の保湿におけるセラミドの重要性がお分かりいただけるかと思います。
セラミド配合美容液で乾きをおさめる
セラミド配合の美容液を選ぶにあたって、注意しなければいけないことがあります。
それは、セラミドには「本物」と「合成したもの(=擬似セラミド)」の2種類あるということです。
実は、商品のパッケージにセラミドと書かれていても、それは擬似セラミドだったなんてことがあるのです。
擬似セラミドにも保湿効果はありますが、やはり本物のセラミドにはかないません。どうせ買うなら本物のセラミドが配合された美容液を買うようにしましょう。
そのためには、成分表示を見分けられるようにならなければいけません。
見分けるためのポイントは以下のとおりです。
セラミドの種類と成分表示

セラミドの種類は、大きく分けて4つに分類できます。成分表示の例とあわせてご確認ください。
- 天然セラミド:成分表示の例「ビオセラミド」「セレブロシド」など
→動物由来のセラミドで肌に浸透しやすく、かつ保水力が優れています。 - 植物性セラミド:成分表示の例「植物性セラミド」など
→お米・わかめ・こんにゃく・ひじきなど、植物由来のセラミドで大量生産が可能ですが、現時点では分かっていないことが多く、今後の研究による解明が期待されています。 - ヒト型セラミド:成分表示の例「セラミド1〜セラミド7」など
→「バイオセラミド」とも呼ばれ、人間の肌内部にあるセラミドと同じ構造を持っています。天然セラミドと同様に、浸透力・保水力が優れているといえます。また、天然セラミド・合成セラミドと比べて、肌との相性が最も良いのが最大の特徴です。 - 合成セラミド:成分表示の例「セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド」など
→「擬似(ぎじ)セラミド」とも呼ばれ、皮膚の状態を整えることを目的として配合された石油原料のセラミドです。一般的に、本物のセラミドより保湿効果が薄いと評価されています。
セラミド配合美容液の正しい使い方とは
セラミド配合美容液には、正しい使い方があります。
具体的にいうと、朝と晩の2回、顔にのせるように優しくつけ、その状態のまま肌に浸透していくのを待つようにするのです。
肌にゴシゴシすり込むような使い方は、絶対にしないでくださいね。
そもそも、セラミド配合美容液に限らず、基礎化粧品はすべて肌にすり込むような使い方をしてはいけません。
おわりに

セラミドやヒアルロン酸といった保湿成分は、クリームに配合されていることもあります。
でも、顔全体につけることを考えると、クリームでは油分の量が適切ではありません。やはり「美容液」がオススメです。
ただし、肌の状態が単なる乾燥ではなく「かゆみ」をともなう場合、アトピー性皮膚炎の可能性が考えられます。
なので、少しでもかゆみを感じる場合は早めに皮膚科に相談し、自分の肌の状態を正しく理解したうえで、適切なスキンケアを行うようにしてください。